誰かの話。14
「その有名な画家の弟子で、
ダーッて目の前で、線で絵を描いて行くの。
そんな風な色に見えないのに、
途中から別の色を入れて、
乾く前に次の色入れないと混ざらないから、
もうとにかくダーッと。
足してく色について、
『その色は何の色ですか?』って聞くと、
『光の色』。
『光をひたすら見てると、
光の色が分かってくる』って言われて。
だから本当にその頃、
太陽とか蛍光灯の光をひたすら見てて、
目ぇおかしくなったもん。
でも分からなくて。ずっと。
だから成績もずっと悪かったんだけど、
5、6ヶ月経った時に、いきなり分かって。
なんか見えたんだね。
それから成績も上がって。
ゴッホの絵を見た時、ここ、
黒く見えるところあるでしょ?
普通の黒い輪郭に見えるんだけど、
ゴッホも光の色をこういうところに混ぜてて。
それ分かった時、
『ゴッホすげー!』ってなったもん。
そういうのはありましたけどね。」